「SaaS の死」というより「SaaS の進化」:成果を買う時代への提案
この記事から分かること
- Sequoia Capital が提唱する「Service as a Software」の概念と背景
- SaaS が「道具を貸す」から「労働力を提供する」へ進化する理由
- メディア事業者がどう向き合うべきかの具体的な方向性
- AI エージェント時代におけるソフトウェアの新たな価値提案

はじめに:SaaS は本当に「死んでいる」のか
2025 年末から 2026 年初めにかけて、テック業界である議論が巻き起こりました。
「SaaS は死んだのか?」
これは、ベンチャーキャピタルの Sequoia Capital が発表したレポートに端を発する議論です。
私は広告・メディア業界で約 10 年間、SSP(Supply-Side Platform)やアドネットワーク事業に携わってきました。その経験から感じるのは、SaaS の「死」ではなく「進化」が起きているということです。
本記事では、「Service as a Software」という新たな概念を整理し、メディア事業者がどう向き合うべきかを提案します。
「SaaS の死」論の背景
Sequoia Capital の提唱
2025 年、Sequoia Capital は「Service as a Software」という概念を提唱しました。
出典: Sequoia Capital レポート(2025 年)
注: 詳細なレポート内容は Sequoia Capital の公式発表をご確認ください。
従来の SaaS モデル
従来の SaaS:
- ソフトウェアをサブスクリプションで提供
- ユーザーが自分で操作
- 「道具を貸す」ビジネスモデル
課題:
- ユーザーが使いこなせない
- 導入後の定着率が低い
- 実際の成果につながらない
新しい「Service as a Software」
Service as a Software:
- AI エージェントが作業を代行
- 成果そのものを提供
- 「労働力を提供する」ビジネスモデル
例:
- 従来の SaaS:マーケティングツールを提供
- Service as a Software:マーケティング施策を実行し、成果(リード獲得)を提供
SaaS 進化の 3 つのドライバー
ドライバー 1:AI エージェントの台頭
背景:
- OpenClaw などの AI エージェントが普及
- 自然言語で複雑なタスクを実行可能
- 人間が操作する必要が減少
影響:
- ツールの操作が自動化
- 人間は成果のみを確認
- 「使う」から「任せる」へ
ドライバー 2:ユーザーの期待変化
背景:
- 消費者は即時の成果を期待
- 学習コストへの抵抗感
- サブスクリプション疲れ
影響:
- 操作が簡単なツールが好まれる
- 成果ベースの課金が支持
- 従量課金・成果課金への移行
ドライバー 3:市場の飽和
背景:
- SaaS 市場の競争激化
- 類似製品の乱立
- 差別化の難しさ
影響:
- 価格競争への陥入
- 顧客獲得コストの上昇
- 新たな価値提案の必要性
Service as a Software の具体例
例 1:マーケティング
従来の SaaS:
- メールマーケティングツール
- 顧客がキャンペーンを設計・実行
- 成果は顧客のスキルに依存
Service as a Software:
- AI がキャンペーンを自動設計・実行
- 成果(リード数・CV 数)を保証
- 成果ベースの課金
例 2:カスタマーサポート
従来の SaaS:
- チャットボットプラットフォーム
- 顧客がフローを設計
- 応答精度は顧客の設計に依存
Service as a Software:
- AI が自動で対応
- 解決率を保証
- 解決件数ベースの課金
例 3:コンテンツ制作
従来の SaaS:
- 文章生成 AI ツール
- ユーザーがプロンプトを入力
- 品質はユーザーのスキルに依存
Service as a Software:
- AI が企画から公開まで実行
- 成果(PV・エンゲージメント)を保証
- 成果ベースの課金
メディア事業者への影響
影響 1:内製化の加速
背景:
- AI エージェントがコンテンツ制作を支援
- 少人数で高品質なコンテンツを制作可能
- 外部委託の必要性が低下
影響:
- メディア事業者は内製化を加速
- コスト削減と品質向上の両立
- 意思決定の迅速化
影響 2:コンテンツの価値変化
背景:
- AI が事実羅列型のコンテンツを生成
- 比較記事・レビュー記事は代替可能
- 表面的な情報は無料で入手可能
影響:
- 独自取材・調査報道の価値が上昇
- 専門家の深い分析が差別化要因
- オピニオン・視点の重要性が増す
影響 3:収益モデルの多角化
背景:
- 広告収益の限界
- サブスク市場の飽和
- 新たな収益源の模索
影響:
- サービス提供型の収益モデル
- 成果ベースの課金
- コンサルティング・代行サービス
メディア事業者が取り組むべき 3 つのこと
1. コンテンツの差別化
具体的なアクション:
| 方向性 | 具体例 |
|---|---|
| 独占的な情報・取材 | 独自インタビュー・調査報道 |
| 意見・分析・視点 | 専門家の深い分析・考察 |
| コミュニティ体験 | ユーザー同士の交流・イベント |
| 実用性・機能性 | ツール・計算機・データベース |
2. サービス提供型の収益モデル
具体的なアクション:
| モデル | 説明 | 事例 |
|---|---|---|
| コンテンツ制作代行 | 記事・動画の制作を請け負う | 某メディア会社 |
| コンサルティング | メディア運営のアドバイス | 某コンサルタント |
| ツール提供 | 専用ツールのサブスク | 某 SaaS 企業 |
3. AI の活用
具体的なアクション:
| 用途 | 具体例 |
|---|---|
| コンテンツ制作 | 記事の自動生成・音声化 |
| ユーザー分析 | 行動データの分析・セグメンテーション |
| パーソナライゼーション | 個別最適化されたコンテンツ配信 |
| 業務効率化 | 定型業務の自動化 |
注意点:Service as a Software の課題
課題 1:成果の定義
問題:
- 成果の定義が難しい
- 媒体側の要因と顧客側の要因の切り分け
- 長期的な効果の測定
対策:
- 明確な KPI の設定
- 定期的なレポート
- 双方の責任範囲の明確化
課題 2:スケールの難しさ
問題:
- 人によるサービスはスケールしにくい
- 品質のばらつき
- コスト構造の課題
対策:
- AI による自動化
- 標準化されたプロセス
- 段階的な提供
課題 3:顧客の教育
問題:
- 新しいモデルへの理解不足
- 従来の SaaS との違いが分かりにくい
- 価格への抵抗感
対策:
- 事例の共有
- 無料トライアル
- 段階的な導入
まとめ:SaaS は「死んだ」のではなく「進化している」
「SaaS の死」論は、SaaS が終わったことを意味するのではなく、SaaS が進化していることを示しています。
重要なポイント:
- 「道具を貸す」から「労働力を提供する」へ
- AI エージェントが作業を代行
- 成果ベースの課金が支持
- メディア事業者はコンテンツの差別化が重要
メディア事業者にとって、これは新たな機会です。
AI を活用して業務を効率化し、人間にしかできない価値(独自取材・深い分析・コミュニティ)に集中する。そのような「進化」が求められています。
当社メディアリープでは、AI 技術を活用したアプリ開発により、メディア事業者の業務効率化を支援しています。Service as a Software の時代において、メディア事業者が果たすべき役割を共に考えていければと思います。
参考ソース

笹尾 祐太朗
デジタル技術の力を借りて、一人ひとりの「やりたい」「できるようになりたい」に真摯に向き合い、技術の力で実現していく。それが私たちの使命です。
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