アドブロック時代に音声広告が検討される理由|技術的な違いと限界

音声広告はDOM上のバナーとは配信経路が違います。ただし、アドブロックを完全に回避する手段ではありません。技術上の違い、限界、導入判断を広告実務の経験から考えます。

アドブロック時代に音声広告が検討される理由|技術的な違いと限界

アドブロックは、広告を見たくない利用者だけの話ではありません。Webメディアにとっては、配信したはずの広告が収益にならない構造上の問題です。

BacklinkoがまとめたGWIの調査では、アドブロックを使う人は世界のインターネット利用者の約30%です。国、端末、調査方法による差が大きいため、この数字を日本の損失率へ置き換えることはできません。

私はSSPやアドネットワーク側で広告収益化に関わり、出版社系メディアでは広告UXも見てきました。広告タグが正しく動いているのに売上だけ欠ける場面や、対策を強めて読者の不満が増える場面を経験しています。音声広告は検討に値しますが、「ブロックをすり抜ける広告」として売るべきではありません。

アドブロック普及率の推移を示すグラフ

アドブロックは、要素と通信を止めます

アドブロックとは、フィルタールールを使って広告らしいHTML要素やネットワーク通信を止める機能です。バナーのDOM要素を隠すだけでなく、既知の広告配信ドメインへのリクエスト自体を遮断する場合もあります。

2015年ごろ、広告配信の現場では一部ブラウザへの対応として扱われていました。その後、トラッキング防止がブラウザに組み込まれ、明示的に拡張機能を入れていない利用者にも影響が広がりました。Cookie規制と広告課題は別の記事で扱っています。

音声広告は、配信方法によって耐性が変わります

音声広告を本編と一つの音声ファイルに結合して配信する場合、DOM上の広告要素だけを隠しても広告は消えません。ラジオCMに近い配信方法です。

一方、再生時に広告サーバーへ問い合わせて別素材を差し込む方法では、その通信が止められる可能性があります。広告URLや計測ピクセルもフィルター対象になり得ます。したがって「音声ならブロックされない」という断定は誤りです。

テキスト広告と音声広告のブロック耐性を比較する図

形式ごとに、体験上の弱点があります

プレロールは本編前に流れるため到達しやすい反面、初回再生を止めます。ミッドロールは長い記事に合いますが、挿入位置が悪いと話を分断します。ポストロールは熱量の高い人へ届く一方、母数が小さくなります。詳しい使い分けは音声広告の3つの形式で比べています。

広告を増やせば短期売上が伸びる試算を、私は媒体担当者へ何度も出してきました。同時に、広告密度を上げたページで離脱が増える数字も見ました。音声広告でも、本数ではなく広告後の本編到達率を見ます。

小さな固定配信から確かめます

人気の長文記事10本を音声化し、広告なしで再生率と完了率を測ります。その後、自社告知を5秒のプレロールで流し、広告あり・なしを比べます。外部スポンサーへ進むのは、その数字が出てからです。

RTBや動的生成まで組み込む場合は、広告配信、同意管理、計測、素材審査が必要です。音声広告へアドテクを応用する方法に実装負荷と仮説試算を載せました。

短い速報、視覚訴求が中心の商品、図表中心の記事には向きません。クリックだけで効果を判定したい広告主とも相性が悪く、指名検索や専用コードを含む評価設計が要ります。

回避策ではなく、収益経路の分散として考えます

アドブロック率約30%という世界推計は、市場の変化を示す参考値です。個別メディアの売上改善率ではありません。音声広告のROIも、再生率、広告付与率、単価、制作費を置いた仮説にすぎず、実測前には確定できません。

音声コンテンツの4つの収益モデルには、広告以外の課金やスポンサーもあります。自社のPUBVOICEでも音声導線を作っていますが、アドブロック回避を約束してはいません。配信経路を一つ増やし、その経路が読者に受け入れられるかを測る。それが現実的な出発点です。

自社開発サービス

記事を「音」で届けるサービス、PUBVOICE

私たちが開発したPUBVOICEは、メディア運営者の作業負担を増やさずに音声体験を追加できるサービスです。RSSを登録するだけで、新しい記事が公開されるたびに自動で音声が生成されます。

RSS連携で記事公開と同時に音声生成
30種類以上の音声パターン
滞在時間が平均11倍に

「読者が記事を最後まで読んでくれない」——その悩みを聞くたびに、音声なら解決できると感じていました。通勤中、家事の合間、運動中。テキストが届かない時間に、音声は届きます。PUBVOICEは、その想いから生まれたサービスです。

無料で始めるクレジットカード不要 ・ β期間中は全機能無料
Yutaro Sasao

笹尾 祐太朗

代表取締役 / MediaLeap Inc.

デジタル技術の力を借りて、一人ひとりの「やりたい」「できるようになりたい」に真摰に向き合い、技術の力で実現していく。それが私たちの使命です。

デジタル技術で、すべての人に新しい可能性を。広告・メディア業界での約10年の経験を基盤に、AI技術を活用して開発効率を抜本的に高めたWebメディア向けアプリ制作を提供しています。

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