YouTubeとSpotifyが音声に投資する理由
YouTubeとSpotifyは、画面を見られない時間まで接点を広げています。両社の公式発表とメディア運営の経験から、音声投資の狙いを読み解きます。

YouTubeは2025年2月、月間のポッドキャスト視聴者が10億人を超えたと公式ブログで発表しました。動画の会社が、画面を見なくても成立する体験を大きく扱っています。
Spotifyも音楽だけに閉じず、ポッドキャスト、オーディオブック、広告取引へ領域を広げています。両社が取りにいくのは、音声という形式より、画面を見られない時間です。
私は出版社系メディアで収益と行動データを見てきました。セッションが途切れる場所を追うと、内容への不満だけでなく、移動や家事など生活側の都合が見えてきます。音声は、その切れ目をまたげます。
音声は画面の制約を外す
動画は情報量が多い一方、視線を使います。通勤、運動、料理の最中には、良い動画でも止めざるを得ません。バックグラウンド再生や音声のみモードは、アプリを閉じる理由を一つ減らします。
YouTube Musicはポッドキャストで音声のみの再生を用意しています(Googleのヘルプ)。Spotifyは音楽からポッドキャストへ、その後オーディオブックへ広げました。形式は違っても、利用者の一日で接点を持てる時間帯を増やす狙いは共通しています。
同じ変化は若い利用者のニュース接触にも表れています。Z世代のニュース消費で扱った通り、発見は動画、継続視聴は音声という使い分けもあります。「動画から音声へ」の一方向ではありません。
長いセッションは収益機会になる
広告事業では、利用時間が長いほど広告を届ける機会が増えます。ただし、再生時間と広告収益が比例するとは限りません。広告が多すぎれば離脱が増え、プレミアム会員には広告が出ないからです。
Spotifyは2025年4月にSpotify Ad Exchangeを発表し、複数の広告購入基盤から在庫へ接続できるようにしました(Spotify Newsroom)。これは音声を増やすだけでなく、売り方も整える動きです。
メディアの現場でも、滞在時間が伸びた施策を成功と呼びたくなる場面がありました。ところが、翌週の再訪が減っていれば判断は変わります。音声でも再生時間、完了率、再訪、広告離脱を分けて見る必要があります。測定条件は音声化の効果測定に記載しています。
ポッドキャストは動画と音声を行き来する
Edison Researchの米国調査では、YouTubeがポッドキャスト利用先として強い位置を占めています(Edison Research)。この数字は米国の週次利用者を対象とした調査で、世界全体の市場シェアではありません。
YouTubeで切り抜きや映像付き番組を見つけ、移動中は音声で続ける。Spotifyで番組を聴き、出演者の動画をYouTubeで見る。利用者にとって二つは競合であると同時に、発見と継続をつなぐ経路でもあります。
私もポッドキャスト制作に何度か挑戦し、台本、収録、編集の負担で止まりました。聴く側には手軽でも、作る側は重い。この非対称性があるため、既存記事の音声化と、専用番組の制作を同じ計画に置かない方がよいと思っています。
Webメディアがまねるなら小さく始める
大手と同じように全形式へ広げる必要はありません。長い解説やインタビューを数本選び、サイト内再生と外部配信の反応を比べるだけでも、読者が耳を使う場面は見えてきます。
XとGoogleの音声化のように、プラットフォーム側が自動で記事を音声にする流れもあります。しかし外部サービスだけに任せると、再生データ、声の調整、広告設計は手元に残りません。
PUBVOICEは既存記事を音声に変える方法の一つです。ただ、速報、数表、画像比較が中心ならテキストの方が速い。耳だけで筋道を追える記事を選び、実測してから対象を増やす方が、制作負担も読者体験も守れます。
YouTubeとSpotifyの動きが教えるのは、音声が動画より優れているという話ではありません。利用者の生活は一つの形式に収まりません。画面を閉じた後にも続けられる経路を持つことが、接点を失わない設計になります。
記事を「音」で届けるサービス、PUBVOICE
私たちが開発したPUBVOICEは、メディア運営者の作業負担を増やさずに音声体験を追加できるサービスです。RSSを登録するだけで、新しい記事が公開されるたびに自動で音声が生成されます。
「読者が記事を最後まで読んでくれない」——その悩みを聞くたびに、音声なら解決できると感じていました。通勤中、家事の合間、運動中。テキストが届かない時間に、音声は届きます。PUBVOICEは、その想いから生まれたサービスです。

笹尾 祐太朗
デジタル技術の力を借りて、一人ひとりの「やりたい」「できるようになりたい」に真摰に向き合い、技術の力で実現していく。それが私たちの使命です。
デジタル技術で、すべての人に新しい可能性を。広告・メディア業界での約10年の経験を基盤に、AI技術を活用して開発効率を抜本的に高めたWebメディア向けアプリ制作を提供しています。
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